今回は、充填機メーカーナオミで実際に起こった、塩の充填での失敗談についてお話します。
塩の充填は、一般的に1キロから5キロくらいの小分け充填をされる方が多いです。1キロ程度の小分けに対応できる充填機は、けっこう少ないのですが、充填機メーカーナオミでいうと、大型粉体充填機(ST)という充填機が、1キロから5キロくらいの塩の充填には、最適です。
今から10年ほど前に、ある食品工場で、塩の充填をしたいという問い合わせがありました。早速、ナオミに塩のテストサンプルを送ってもらい、ナオミの社内でテスト充填をしたところ、非常に充填速度も速く、高精度で充填が出来ました。
その後、お客様にも立ち会っていただき、その充填テストの状況を見ていただいたところ、大変気に入っていただき、塩の充填機(大型粉体充填機 ST)を購入していただきました。
ただ、塩ですので、錆びの問題を考慮して、本体はSUS304で製作し、粉体充填機はスクリュー式充填機なので、スクリュー部分は、SUS316Lを使用することにしました。(※SUS316Lとは、非常にさびにくいステンレスのことです。)
SUS316Lは、錆びにくいステンレスではあるのですが、高価なステンレスなので、金額もある程度上がってしまうため、お客様の予算も考慮し、重要な駆動部分はSUS316L、その他本体はSUS304で製作しました。
そこで、問題になったのは、100LのホッパーをSUS316Lにするか、SUS304のままでいくかです。ホッパーは、駆動部分ではないので、SUS304で対応できるという判断をしました。
納品後、1か月ほどして、お客様から1本の電話が入りました。「ホッパーが錆びてきました。どうしたらいいですか?」というクレームの電話でした。
すぐに現場に駆け付け、確認をすると、ホッパーそのものは錆びてはいなかったのですが、溶接部分から錆びが発生していました。
このことから、たとえ錆びにくい素材を使っても、溶接部分は熱変化を起こしているので、非常に錆びやすいという教訓を得ました。
対策として、ホッパーそのものも、SUS316Lで製作し直し、再度納品することにしました。その時、気を付けたのは、やはり溶接部分で、溶接後電解研磨を丁寧に行い、錆びが発生しないように最善を尽くしました。
その対応に、お客様は非常に喜んでいただき、錆びの問題は解決しました。
このことを教訓として、充填機メーカーナオミは、その後の塩の充填に関しては、ホッパー及び駆動部分は、たとえ高価になったとしても、SUS316Lで製作しています。
塩の充填を検討されている方は、現場や充填物に応じて、詳しいノウハウを持っていますので、ぜひご相談ください。臨機応変に対応させていただきます。